melancholia//サイトの更新履歴兼、その時々のプレイゲーム日記、二次文章など。
--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2010/10/16 (Sat) 鬼祓師文章 / ハロウィン第二弾、雉明編

16日になってしまいましたよ。おおお。
つくづくと、予定は未定ですね。
出前を頼むと所要時間を多めに言われるという、あれが大事です。ええ。

そんなわけでべそべそ言いつつ、雉明編です。
思えば雉明と七代の会話というのは割と久し振りに書くので、何だかなかなか書けなかったりとかそういう事もありつつ、あとはネタメモの粗筋書きがひとことしかなかったというのもあれだったな。
ネタメモは、詳細な方が、当然ながら、早く、書けますよ…<過去の自分へ
まあ、重々承知の上なんですが。
考えながら書くのは時間がかかりますよ!
すらすら出てくる時ばっかりじゃないよ!
(前回の壇編は同じくメモが一行だったにも関わらず驚く程すぐ出来た)

まあ、中身は言わずもがな……いつもの、単なる、べたべたです。
それで宜しければ追記から。







鬼祓師ハロウィン小話、雉明編








-------------------------------------------------------------------








「雉明、お菓子ちょうだい」



七代千馗の発したその言は、全くもって唐突だった。
見ても良いとの許可を得たので、彼が普段授業で使っているというノートを興味深く眺めていた時の事である。

現在この部屋には彼と自分しかおらず、そして何より彼は雉明、と名を呼んだので、その言葉は確かに自分に対して発せられたものなのだろう。それは恐らく間違いない、のだが。
顔を上げたものの。雉明はとりあえず視線を結んだまま、しばし黙り込んでしまった。言い掛けられた言葉があまりに唐突過ぎた所為で、言葉の内容と意味がうまく飲み込めない。
彼はといえばノートを眺める雉明の傍ら、学校で出された宿題を片付けていたところで。その間、別に会話らしい会話も無かったから、雉明はてっきり没頭しているのだとばかり思っていたのだが。どうやら七代の頭蓋に充満していたのは勉学の事のみでは無かったらしい。

そう言ったままじっと此方を見詰めている七代千馗と視線を合わせながら、雉明はほんの少しだけ首を傾けた。そうしてもう一度ゆっくりと先刻吐かれた言を思い出してみる。
彼は空腹、なのだろうか。
七代が学校から帰り、その少し後に買い物へ出ていた羽鳥清司郎が戻り、それから夕食の準備が開始され、現在は夕刻過ぎである。成程、確かに空腹を感じる頃なのかも知れない。

だからといって、

雉明の首がもう少しだけ傾く。
だからといって。七代千馗がこうして雉明に菓子を要求する事も、そもそも空腹を訴える事も、今までには一度も無かった事なのだが。
(七代曰く、彼の身体は大層燃費の良いように作られているそうなので)
それに、と思いながら雉明は耳を澄ます。幾つか隔てられた部屋から聞こえるのは、まな板の上で何かを刻む包丁の小気味良い音。
清司郎が夕飯を作り始める時刻は概ね毎日決まっていて、それは雉明よりも七代の方が余程よく知っている事だろう。雉明よりも長く此処で暮らしているのだから。
そして、清司郎が折角食事を用意してくれているのだからと、その直前に菓子の類を貪ろうとする白を毎度叱っているのは他ならぬ七代なのである。その光景を毎日間近で眺めている雉明としては、七代自身が菓子を求めたという事が不思議でならなかった。彼が求めているのは何も、スナック菓子一袋分、というわけではないのかも知れないけれど。
しかし、果たして彼がそんな理不尽な事を言うだろうかと、雉明は思うのである。
そう考えた途端に何故か、お前は盲目過ぎるんだよ、という壇燈治の声音が幻聴として耳に響き、雉明はその精巧さと鮮明さに自分自身少し、可笑しくなった。

雉明が思考を回転させている間、彼は薄い表情の上に何処か面白がるような色を重ねていたのだが。
丁度、空腹なのかと問おうとした時に彼の方からもうひとつ言葉を継がれた。

「お菓子くれなきゃ、さもなくばいたずら…………、いや、襲おうかな」

教科書をぱたりと閉じてそう言い、雉明の顔を見詰めたまま彼は笑った。

「、いたずら」

その単語を耳にした途端、合点がいく。
不意にカレンダーの数字が脳裏に蘇った。今日は何月何日でどういう時期だったのか。疑問が氷解した事で自然と雉明の口許にも笑みが滲む。

「ああ…………、ケルト人たちの収穫感謝祭、か。確か万聖節の前の晩に行われる、んだったか」

蓄積された知識を開き、辞典の字を辿るようにして引き出しながらそう応える。雉明自身、自分がいつ何処でそれを知り得たのかという事については定かではないのだが。

「そう。ハロウィン。不思議そうな顔してたから知らないのかと思った」

そう言われ。雉明は口腔内で、ふしぎそう、と彼の言葉を音なく繰り返した。
雉明といえばもっぱら何を考えているのか判らない、と評されるのが常で、こんな風に胸郭にぼんやりと浮かぶ雉明の感情を顔のおもてから逃さず正確に掬い取るのは七代千馗だけである。彼の眼が特別なのか、それとも自分が彼の前でのみ表情が豊かになるのか、自身の事だけに雉明にはどちらが正解なのかは判らない。けれど、こうして七代が、雉明の事をそれこそ雉明以上にきちんと把握し、理解してくれる事を、何となく、とても嬉しいと、いつも思う。
己の唇がその感情につられて柔らかく解れるのを自覚しながら、雉明は彼と同じく、眺めていたノートを静かに閉じた。

「ただ、おれはきみが空腹なのかと……、いや、ハロウィンの習慣は日本にもあるんだな、知らなかった。元々ヨーロッパを起源とした民族行事だから、日本ではあまり普及していないのかと思ったんだが」

雉明が言うと、彼は笑んだまま何処か呆れたように肩を竦めてみせる。

「日本は何でもアリだからな……行事の意味なんかはどうでもいいんだよ。ただ黒とオレンジで、カボチャで、お化けチックな仮装で、お菓子を貰う期間なの。それだけ。そういう便利でお手軽な民族なの。ま、俺はカボチャきらいじゃないからいいけどね別に」
「……そう、か、おれもカボチャはきらいじゃない」
「清さんの煮物はおいしいよね」
「そ、うだな」

雉明としてはあと少しだけ味が濃い方がいいような気もするのだが、羽鳥清司郎の料理は確かに全て素晴らしく、そして有り難いのは事実なので、素直に頷いておいた。
現在台所に居る清司郎がどんな献立を用意しているのかは判らないけれど、南瓜を使ったものがあれば良い、と思う。他でもない、彼が好きだというのなら。
かすかに耳へ届く調理の音を聞きながら雉明はそう思い。それから、自身のポケットをごそごそと探った。

「確か、……………………ああ、あった」

目当てのものを指先で探り当てて、それを彼の眼前へと差し出すと。七代は、雉明の掌の上に在るそれをじっと見詰めながら首を傾けた。

「、飴?」

彼が言い出した事なのに、何故彼が不思議そうな顔をするのだろう。彼の頭からはもうすでに自身の言葉は消えてしまっているのだろうか。
そう思いながら雉明は笑って、七代と同じく首を傾けてみせた。

「生憎と、菓子の持ち合わせはこれしかないんだが…………きみに。ハロウィンだろう?」

差し出したのはたこ焼き飴で。
いつものように、入るのを躊躇し続ける雉明とは全く対照的に堂々と鴉乃杜学園食堂へ出入りをする白が(すでに食堂の売店に居る女性とは顔見知りらしくその事に雉明はひどく驚いた)其処でもらってきたものだ。油で揚げた菓子を特に好む彼女には飴というものは少々物足りないようで、それはそのまま雉明の手に渡ってきたのだが、ポケットに仕舞い込んだきりになっていたのを丁度、彼の言葉で思い出したのである。

「たこやきあめ……」

飴を眺めながら七代はそう言い。それから少し意外そうな顔をした。

「ほんとにお菓子、持ってたの」
「ああ。ちょうど持っていてよかった」

雉明の差し出した飴を彼はしばらく眺めていたが、やがて、ありがとう、と応えてそれを己の手に取った。
その光景を眼にして、雉明はつくづくと思う。普段菓子の類はあまり口にしないのだが偶然持っていて本当に良かった、と。白に感謝をしなければ。
雉明がそう考えているなか、薄いセロファンの包装を解いて受け取ったばかりの飴を口腔へ放り込み、ころりと舌の上で撫で転がしながら七代は微笑んでみせた。
しかし、その笑みは何処かほんの僅かにだけ困っているようにも見え、雉明はまた首を傾げてしまう。
何故彼は困惑するのだろう。
自分はいま彼の要求に応えこそすれ、困らせるような事をした覚えは決して無いのだが。

「別に、持ってなくても良かったんだけどなあ」

もしや、彼は白と同じくこの飴があまり好きではなかったのだろうかと考え始めた時、七代は呑気な声音でそう呟いた。

「まあ、雉明がくれるって言うんだからもらうけどさ」

そうして、互いの距離が少しだけ詰まる。
近付いた彼の黒い眼を雉明はじっと見詰めた。
彼の口にする言葉はいつもの事ながら、雉明には少し、難しい。

「……………………渡さない方が、よかった……、のか?」

首を傾げながら問い返すと、雉明を捉えたまま彼の眼が笑みに細められる。

「どうかな? どっちでも、俺のする事は変わらないんだけど」

近付く黒い色の虹彩がとてもきれいで、雉明はその黒から眼が離せなくなってしまう。
いつもそうだった。こうして間近に彼の眼を見詰めてしまうと視線が離れなくなるのだ。雉明は彼のそのうつくしい色が、とても、好きなので。七代千馗の眼はどうしてこんなにうつくしい色をしているのだろう。
そう考えているうちにそれはもっと見えなくなるくらいにまで近付いて、その代わりに唇が生温い熱によってぬるりと覆われた。

「、……」

触れる部分からじわりと染みて、快さが全身へ浸透していく。
ほんのりと甘いような不思議な味がするのは、恐らく先刻の飴だろう。同じ味をいま彼と共有しているのだと思うと不思議な感銘が胸郭に充ちた。
彼の唇は雉明のそれをするりと擦り、食むように強めに触れて、ぴったりと隙間無く合わさる。
三度ほど繰り返されるとそこから生まれる感触と熱の事が脳裏の大半を占めてしまい、霧がかかったように意識がぼんやりと曖昧にぼけてしまう。この感覚は雉明が、他ならぬ彼から教わって知り得たものだ。
やがて、あとを引くようにして唇が離れ、快い感触だけがそこへ残留する。
雉明の唇を解放した七代はとても近いところから雉明の眼を覗き込みながら、塞き止められていた呼気ごとぽつりと小さな声音をこぼした。

「…………だって、…………いたずらしたいしさ」

彼の残した感触に意識の半ばを占領されたまま、雉明はその言葉に思わず瞬いてしまう。

「これが、いたずら、……なのか?」

具体的な内容を思い描いていなかったにせよ、こんな風に触れる事がいたずらであるとは思っていなかったのだが。その呟きを鼻先で聞き、七代はそれこそ悪戯っぽい表情で片方の眉を上げた。

「あれ、もっとわるいこと、した方が良かった?」

いたずら、というのが唇を合わせる事なら、もっとわるいこと、というのは何なのだろう。
それを考えながら、順に思い出す。
先刻知識の波から引き揚げたハロウィンという民族行事に関しての事と、彼のこぼした言。彼の浮かべた表情。それらを全て集めて結びつけ終え、何となく彼の思考を理解した雉明は、思わずふと笑ってしまった。

彼の、求めたものは

「きみは…………、菓子をもらったのに、いたずらをするのか?」

慣習に照らし合わせてそう訊ねてみれば。彼は、欠片も悪びれずにただただ当然だとでも言わんばかりの顔をして。

「そうだよ?」

それから、再び唇を寄せる。彼の言う、いたずら、だ。

「そう、か……………………きみは、本当に、おもしろいひとだな」

笑いながらそう応え、教わった作法通りに雉明は瞼を閉じた。
飴を受け取ったにも関わらず七代千馗がこうしていたずらをする事が、雉明自身も勿論、全く、いやではなかったので。

ハロウィンの正しい慣習か、それとも彼のもたらす快い熱なのか。

雉明が選ぶのであればそれは、もう決まっているのだ。















----------------------------------------------------------------------




朝子センセイの前ではべたべたしませんが、清さんの前では割と憚りなくべたべたします。

なので、清さんが呼びに来るまで続行されます。





スポンサーサイト

鬼祓師小話 | comment(0) |


<<お返事です | TOP | お返事です>>

comment











管理人のみ閲覧OK


| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。