melancholia//サイトの更新履歴兼、その時々のプレイゲーム日記、二次文章など。
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2010/10/12 (Tue) 鬼祓師文章 / ハロウィン第一弾、壇編

半分就寝しかけたところでカッと思いついたものを。

ゲーム本編の時間軸を完全に無視した上でのハロウィン文章です。
雰囲気としては……本編が実は二年生の時に起きた事で、三年生になってからハロウィンの時期を迎えました、みたいな感じでしょうか。
つまり色々と全部終了してるにも関わらずハロウィンだぜ、という事です。

まずは壇編です。
予定としてはあとふたつ書くつもり、です。
このくらい短いものならさくっと……実質一、二時間くらいで書けるんだけどなあ……
文章頁へは、全部揃ってからまとめて上げる予定です。

そんなよく判らない文章で宜しければ追記から。









鬼祓師ハロウィン小話、壇主編






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「なんでお前が吸血鬼なんだろうな」

放課後。
自分の靴箱を開きながらふと思い出したので、壇燈治は何の気無しにその事を口にした。ホームルームが始まる前に、七代千馗と同じ組の女子生徒たちが話していた事柄である。
壇よりも文字通り一足早く靴を履き替えた七代は、その言葉に対し首を傾け。そうして笑った。

「…………なんだ、寝てたんじゃなかったのか。聞いてたの?」
「すぐ後ろなんだから、いやでも聞こえる。あれだけデカイ声で喋ってりゃ尚更な」
「ふうん」

出来得る限り表情を変えずに壇はそう応えた。
眠っていたところをかしましい複数の声音によって起こされた、のではなく、実際、壇は最初から寝た振りを決め込んでいたのであって、眠ってなどいなかったのだが。
この男が女子生徒たちに囲まれている時、壇は毎度決まってどういう顔をすればいいのか判らなくなるのである。その事が自分自身、大層面倒なのである。眼の遣り場に困るのではなく、耳の置きどころに困るのだ。
この男は何かと女子生徒を引き寄せやすく、そして壇の席はといえば幸か不幸か七代千馗のすぐ後ろで。教室を出るのが一番簡単な回避方法なのだが、いざそれを実行してしまうとそれそれで少し露骨過ぎるし、だからといって自分もその会話に参加するというのは全くもって言語道断、有り得ぬ選択肢である。
ならどうすればいいのか。
狸寝入りというのは、それを考え抜いた末に思いついた壇なりの自衛手段なのだ。
出来るだけ素気無く応えたつもりだったのだが七代の口許から笑みが消えないので、この男は既に見透かしてしまったのだろう。恐らくは、壇がそれをする理由までも正確に。

「確かにお前、白いけどよ…………吸血鬼ってもっと何つうかこう、暗くねェか」

思索の分だけ遅く履き替えを終えた壇がゆるりと歩き始めると、七代も同じ速度で壇へ続いた。
あまり馴染みも興味も無い存在ではあるが、数少ない印象の欠片を思い起こしながら壇がそう言うと、七代は可笑しそうな顔をして肩を竦めた。

「お前が吸血鬼にどういうイメージを抱いてんのかは判んないけどさ、あの子たちが言ってたのは……しちだいくんって吸血鬼っぽいよね、じゃなくって、吸血鬼の衣装が似合うんじゃないかな、って話だったと思うんだけど」
「、衣装?」
「そう。あるだろ、なんというか黒々しくて貴族的なやつ」
「……、ああ」

言われて、何となく思い当った。
欧州貴族のような黒い服と七代千馗の姿を脳裏で重ね合わせてみる。それに対する壇自身の好悪はともかくとして、それは確かに、そう悪くはないように思われた。

「…………まあ、似合う、かもな」
「、そうか?」

壇がそう言うと、七代が隣で意外そうな顔をした。
自身ではそう思っていなかったのか、はたまた壇の言葉が予想外だったのか。

「って言うより、お前に合わねェ格好ってのが思いつかねェんだけどな、俺は」

なんといってもこの男は女子用の制服ですら(それなりに)着こなしたのである。もはや、似合わぬ服装など存在するのだろうかと壇は思うのだ。僅かばかりの畏怖と呆れを込めて。
概ね、無用なほど敏いというのに、そうした壇の微妙な心情はあまり読み取られなかったらしく。七代は開きかけた唇を噤み、何処かばつの悪そうな顔で視線を明後日の方へ逸らした。
その所作を見遣りながらじっと、白い頬を盗み見る。
壇も長らく掴めなかったのだが、最近になってようやく理解できるようになってきた。
この男がこういった顔をする時は、実は、照れているのである。褒めると大抵いやな顔をするが、あれも恐らくはそうした心の現れなのだろう。
全くもって、七代千馗という名の壇の親友は大層、判りにくい。
それをほほえましいとか、かわいい、などと思ってしまう己の心も、大層どうかしているとは思うのだが。

「……………………けど、ハロウィンの扮装だったらさ、」

そう言い掛けて、七代は逸らしていた視線を壇の方へ引き戻した。夕刻へと近付く少し古びたような陽光を受けて、黒い色の眼がじんわりと鈍くひかっている。

「お前は、狼男だと思う」

此方に向き直った七代千馗が突然何を言い出したのか、咄嗟に意味が判らなかった。

「…………あ?」
「狼男だよ。絶対」

何故かそう言い切り、自身の発した言へ納得するように七代はひとつ頷いた。

「……………………つまり……、俺には狼男の格好が似合う、ってお前は言いたいのか?」
「まあ、そう」

七代の顔を見詰めたままそう訊ねると、七代はもうひとつ頷いた。

「似合う、っていうか、狼男だろ?」

この男が何故こうも言い切るのか壇にはさっぱり判らない。自分に合う扮装の事など、今まで考えてみた事も無いのだが。それ故に、先刻とは違って己のそうした姿を想像してみる事すら不可能だった。

「オオカミ…………、別に、まあいいけど…………なんでそこまではっきり断定するんだよ」
 
そこまで言い切るからには確固たる理由があるのだろう。
そう思いながら問い返すと。
七代は、此方の腑に落ちない様子を面白そうに眺め遣り、色の薄い唇に無音の笑みを浮かべた。

「判んないなら……、ま、自分の胸に手を当ててよっく考えてみれば?」

その言を聞きながら、壇の眼は何故か、微笑する七代の口許へきつく縫い付けられてしまった。
奇妙な。そして何処か、とても、意味ありげな笑み。
固定されてしまった視界に映るその唇と、考えろという七代の声、それから先刻のおおかみおとこという単語。それらは壇の緩い思考と一緒にぐるりと廻り、丁度三周し終えたあたりで何かが見え始めた。
ぼんやりとした、解答めいた何か。
この男が一体、何を言おうとしているのか。

「―――――」

廻り続けた思考がぴたりと、終点へ達する。
つまり。七代千馗が差しているのは。

狼男

ようやく及んだ理解の上に先刻言われた言葉が勢い良く飛び出し。
壇は途端、強い羞恥に襲われた。

「……………………、…………」

気付いた瞬間にもう見ていられなくなって、七代の唇から大きく眼を逸らす。
逸らした先にどういった風景が流れているのか、それを確かに映しながらも壇の眼は全くそれを認知していないのだが、散らかってしまった脳回路の隅で何とは無しに納得した。成程、先刻壇から視線を外した七代はこうした心地だったのだろうかと。
しかし同種といえども恐らくは確実に、いま壇の感じている羞恥の方がより度合いは強いのだろうけれど。

んな事ァねェだろう

そう返してやりたいのだが、そんな事は無いのだときっぱり否定出来るほどの自信が残念ながら壇には無かったので。羞恥をおして無理矢理口を開くのは、壇にとってはなかなかに難しい。
壇が七代の真意を理解したのか如何かなど、すでに明白だった。言葉になどせずとも、壇の全身がとても素直にそれを物語ってしまっている。

頭の先から足の爪先まで壇の身体から溢れた感情をつぶさに観察し。せっかく視線を逸らしているというのにわざわざそちらへ廻り込んでから。
とてもとても楽しそうに、それでいてとてもやわらかな顔をしながら、壇燈治が赤い顔をして怒り出すまでのあいだずっと、七代千馗は笑い続けた。















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しちだいかずきザマス、と、だんとうじでガンス。

フランケンは不在。





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