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2010/05/28 (Fri) 鬼祓師小話 / 壇主壇でアレっぽい


あー、やっと出来た!
中身らしい中身は無いというのに……

壇主壇、だと思います、あと腐色強めなので年若い方や苦手な方は要注意です。

以前の文章『ざまあみろ』の続きみたいなもの。




そんなもので宜しければ追記から。



鬼祓師小話 『ばかやろう』












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『ばかやろう』








手を握らせておいて、此方が離すと怒るのに、自分は笑って平気で背を向ける。

七代千馗は、本当に、ひどい男だ。









壇燈治の頭の中で、七代千馗の声と表情がもう幾度となく再現され続けていた。



壇の中の、恐らく理性とか良心とかそういった名の部分が、必死に壇を宥め、七代を擁護し、肯定しようとする。
あれは、此方を思うが故の言葉であったと。
壇の事を思えばこその言葉だったのだと。
それは確かにそうなのだろうと、壇とて認めている。それを否定はしない。
七代千馗が己の事を少しくらいは思い遣ってくれているのだと、ちゃんと判ってはいるのである。
しかし。
蘇る記憶を背景にして、壇の苛立ちが色濃くその上へ重なった。
あの時。
明らかに七代の事情を知っている風な口振りで、嘉門英雄という男は此方を挑発した。
挑発されたのは他でも無い、七代である。
事情、などというものを抱えているのは、そもそも七代千馗なのだから。
けれどその時、壇が七代と同じ場に居合わせていたのならそれは、壇にとっても同じ事なのである。
七代が受けた挑発はそのまま壇のものなのだ。少なくとも壇はそう思っている。
壇は、あの洞で札に憑かれ、それを七代に救われてからずっと、常に七代の傍らで拳を振るってきた。
七代の背を守り、己の背を預けながら。
けれど、そこに埋められた気持ちを、例えば明確に言葉というかたちででも表わした事は無かった。
それは、殊更そうする必要など無いと思っていたからだ。
言葉になどしなくても、己の抱くものは七代のそれと同じなのだと、信じていたから。
だから壇は、わざわざそれを口にしなかったのである。

それなのに。

あの男は、壇に何と言ったか。



「ちょっと…………
 ひとに昼からの授業を強制的にさぼらせといて黙り込むわけ?」

鴉乃杜学園校舎屋上。
吹きつけてくる風は、紛れも無く冬の風だ。
陽光があまり差していない所為か、コンクリートの色も相俟って空気さえ灰色めいているように見える。
仄暗い雲、灰色の空、同じ色の塀、黒い制服、黒い色の眼、それに髪。
その無彩色の中、七代千馗は僅かに眉を寄せた。

「次、小テストだったらどうしてくれる」

真面目というほど真面目な質でもないのだが、勉強というものが単に好きであるらしい七代はそう言って嘆息した。
けれど隣の男は七代の言葉に反応もせず。

「…………何なんだよ、一体」

呟いた声が嘆息に溶けて落ちる。

午後の授業が始まろうという時に突然、七代の腕を引いて、この屋上まで連れてきて。
それきり、壇は黙っている。
何も言おうとしない壇の険しい横顔を、七代はじっと凝視した。
何故か眉を顰めたまま口を開こうとしないが、己を連れて来たのだから、当然己に用があるのだろうと思う。
しかしその用というものに七代自身は、全く心当たりが無かった。
こんな風に黙られる理由にも。
以前、位置が逆であったのなら似た事があったのだが、己の身を同じくそれへ当て嵌めてみるという事を七代はしなかった。
その可能性について欠片も考えなかったので。

壇は、己を連れてきたきり、七代の方を見ようともしない。

「、おい、壇、」

埒の明かぬ状況に耐えられず、苛立った七代が壇の肩へ手をかける。
しかし七代の手は、壇を振り向かせる前にするりと、逆に壇の掌へ捉えられ。
そして、己の顔の丁度脇あたりに押さえ付けられた。
握り込む壇の力と、手の甲に触れるコンクリートの冷たさ。
それを感じながら七代は、いつのまにか間近に移動していた壇の顔をただ見詰めるしか無かった。

「、……」

正面から睨みつける壇の眼に怒りが灯っている事は、七代にも判る。
そうして、その中に悲しみめいたものが滲んでいるのも。

「壇」

右の手をコンクリートに縫い付けられたまま、七代は眼前で己を睨んでいる男の名を口にする。
手は痛んだが、その痛みは恐らく己が受け入れるべきなのだろうと七代は考え、とりあえずそのままにした。
相変わらず己の中にその理由が見当たらないにせよ。

「……………………覚えてるか?七代。
 お前が……………前に此処で、俺に言った事を」

ようやく壇の唇から零れた声は、いつもよりも余程低い。
それが、今この男を支配する感情の濃さなのだろう。

「、俺が?」

七代と壇が屋上で話した事などそれこそ数え切れない。
その中の何を差しているのか、七代にはやはり思い当らず。
問い返すと、壇は苦い笑みに口角を歪めた。

「…………お前にとっちゃ、軽い事だったのかどうでも良かったのか……
 けど、あの時、お前は確かに怒ってたぜ。
 お前はただ怒ってて俺には意味不明だったが、最近になって判ってきたよ、
 お前が言いたかった事。
 なのにお前は俺におんなじ事をするんだよな」

壇の言葉を耳に浸み込ませながら、七代は己の記憶を飛ぶように辿っていた。
己が、怒った。
それはかなり珍しい事である、だからすぐにその記憶は見つかった。けれど。
それが今、壇の言うそれとどう繋がるのかは理解出来ない。

「………………………………わからない」

仕方無く、七代はそのままを口にした。

「覚えてない、って事か?」
「違う。
 俺がお前に腹を立てた事はそりゃあ覚えてるよ……、
 でも今お前が俺に一体何を言いたいのかは判らない」

そう言う七代の顔をじっと覗き込んで。
壇は、深く溜息を吐いた。

「…………本当に、わかんねえのか?
 自分はあれだけ怒って、あんな事しやがったくせに?」

壇の眼がゆらりと七代の眼を捉えるのを見。
そこで七代は完全に、その時の詳細を思い出した。
あの日、自分がこの男の何に腹を立てたのか。そしてその結果何をしたのか。
そうして思考を滑らせて、今日この男との間に何があったか、何を言ったのか、その記憶とそれを照合させる。

あの時の七代は、壇が進んで頑なにひとりになろうとするので、その事に腹を立てたのだ。
親しい素振りをするくせに七代をも輪から外すその矛盾に。
この男の行動の、言動の、無意味さに。思い違いに。
だから、いやがらせをしたのである。
また同じ事するようなら、更なるいやがらせを敢行すると、言い残して。

壇は、掴んだ手をもう一度握り直して、七代との距離を詰めた。

「お前は、あの時、俺につまらねえ事をするなと言った。
 俺はお前の言う事がよく判らなかった。
 けどな、今日はあれを実感したぜ、七代…………
 お前にそのままそっくり、おんなじ事を言ってやる」

握った手に力を込めると、七代の眉が僅かに顰められた。

「つまんねえことを、いってんじゃねえよ」

ゆっくりと音を切って、壇は吐き捨てる。
眼の前の男に言い聞かせるように。

「穂坂を逃がすのは判るさ、当然だよな。
 けど、なんで俺もそこへ入れる?
 なんで俺が、お前をひとり置いて逃げなきゃならねえんだよ。
 穂坂と一緒に逃げろ?俺が?
 ふざけんなよ、七代」

壇の吐いた怒気が煙のように七代の周りに満ち、その中で七代は胸中を整理する為に息を詰めた。

先刻、嘉門英雄に絡まれた時、確かに己は壇にそう言った。
それは言葉の通り、穂坂弥紀と共にあの場から離れてもらう為である。
嘉門という男は七代の事情を知っているようだったし、微かに札の匂いもした、だから己ひとりでいいと思ったのだ。
ふたりをこれ以上巻き込む事は無い。
向こうもひとりなのだし、七代の手に封札師の手甲は無かったが、どうにか相手にはなれるだろうと踏んで。
その事が。
どうやら、壇は大層気に食わなかったらしい。

「、あれは」

七代が言い掛けると、壇は普段見ないような少し意地の悪そうな表情で首を傾けた。

「言い訳か?
 一応聞いてやるぜ、納得してやるつもり無えけどよ」
「お前……、」
「睨んだってお前が悪いんだからな、七代。
 自分があの時言った事をちゃんと思い出せよな」

己の行動の理由を話して聞かせるのは簡単である、しかし説得となると甚だ難しそうだ。
七代は、間近からぶつけられる感情をどうするべきなのか、少し困惑していた。
今までにこういった種類のこころを、投げつけてくるものが居なかったので。

「俺は、…………俺ひとりでいいと思って……、
 穂坂ひとりで行かすのも心配だし、
 お前がこれ以上俺の事情に巻き込まれる必要は無いだろ。
 前に俺がお前に言ったのとは違うよ、これは」

自然、言葉の歯切れが悪くなる。
七代は自分の手を壇から取り返そうとしたが、壇はそれを逃がそうとしなかった。

「、痛いって、」
「お前は、俺を、巻き込んだ、って思ってんのか?」
「思ってる、じゃなくて事実だろうが」

七代が言うと、壇は半眼になってやれやれと溜息を吐いた。

「…………お前はあれだな、
 典型的な、勉強の出来る馬鹿、ってやつだな」
「ば、馬鹿ァ?」
「馬鹿以外無えだろ」

更に距離が詰まる。
壇の額が、七代の額にぶつかった。
近過ぎる所為で互いの表情が見えなくなる。

「……………………本当にお前が判んねえって言うんなら、何度でも言ってやる。
 俺はな、嫌々巻き込まれたなんて思った事は一度も無い。
 ただの一度もだ。
 俺に札が取り憑いて、お前がそれを祓い、俺に力が残った。
 俺はお前を信じるって決めたから、お前の傍でこの力を使う事にしたんだ。
 全部、俺が決めた。
 それは誰にも、お前にも、強制された事じゃねえだろ」

壇の吐く声音は相変わらず勢いは強かったが、何処か柔らかかった。
額同士が擦れ、髪がさらりと鳴る。

「俺は…………ずっと、お前の傍で拳を振るってきて、背中を預けてて…………
 だから、お前もそうなんだと思ってた。
 けど今日、それが俺の勝手な思い込みだったって事がよく判ったよ、七代。
 俺は……お前の背中を守るには、頼りない男か?
 お前の隣には立てねえか?
 お前は俺を、信じてねえのか?なァ、七代」

本当は。
期間限定の力しか持たぬ己を、七代千馗は己が思う程は必要としていないのかも知れないと壇は思っていた。
壇が決して持ち得ぬ力でもってこの男が異形を祓う、それを目の当たりにすれば嫌でもそう感じてしまうだろう。
けれど、壇は己の胸の隅に燻ぶるその不安から無理矢理に眼を背けた。
誰でも無い、壇自身が己の力を信じられなければ、この男の傍らに居る資格など無いのだと思うから。

壇の言葉を聞きながら、七代は口を開き掛けて。
そして、吐こうとした言葉を全て、諦めた。

「………………」

七代の喉許から零れる言葉が無くなって。代わりに嘆息だけが落ちる。
反論の言は幾つも浮かんだ。
しかし。何を言っても結局、あの時此処で壇が口にした事と同じになってしまう。

信じていないわけじゃない
むしろ、大事に思うからこそ、俺はそう言ったのに
どうしてそれが判らない?

壇の気遣いを問答無用で蹴り、腹を立てて、己を押し付けたのは他ならぬ七代である。
それが酷く理不尽な行為だったのだと、今、七代は痛感した。

「……………………俺は。
 あの時……、お前に言った事を、今も、間違いだとは思わない。
 あの時のお前は確実につまんない事を言ったと思う。
 …………俺のした事が、物凄く理不尽な行いだったってのは、まあ、認めるけど」

呟くような七代の言葉を、壇は黙って受け止めた。

「…………で?」
「だから、今、お前が言う事も、同じく正しいんだろう、な。
 そんなつもりじゃなくて、
 俺はただ、お前の為だと思って言ったんだけど…………
 何言ったって、あの時のお前の言い訳を物凄く思い出しちゃうからさ。
 だから言わないようにするよ。
 お前の怒りは、多分…………、正しい…………」
「だから?」

いつまでも先を促す壇に、七代の苛立ちが爆ぜた。

「お、前なあ!
 どんだけ根性悪いの!
 だから!俺は…………、俺が、まちがってた、って、言ってんの!
 いいだろうが、それで!」

癇癪を起して抵抗し始めた七代の腕を強く握り直して、壇は口角を吊り上げた。

「いいわけないだろが……
 自分があの時、俺に何をしやがったのか、忘れたんじゃねえだろうな?
 それはきっちり、返さねえとな」

生憎と俺はようく覚えてるぜ

そう言って。
あの時、自分がされた通りに壇は、七代の唇に強く己のそれを押し付けた。



柔らかい肉が弾力をもって壇の唇を押し返す。
僅かにずらせばぴったりと粘膜が重なった。
ぬめる粘膜の温かさを感じながら、壇は七代にされた事を思い出していた。
それをそのまま、今度は己からこの男へ返してやる為に。

そろりと舌先を伸ばすと、自分のものでは無い歯に触れる。
不意であった所為なのか驚愕の所為なのかそれはきちんとは閉じられていなかったので、其処からもっと奥へ侵入する事にした。
七代の舌に己のそれが触れて、擦れる。
温い熱とそこから生まれる熱。あの時、壇が感じたもの。
舌をより深く押し込む為に、もう少し角度を変えて七代をコンクリートへ押し付ける。

「、ふ、」

瞬間、僅かに離れた互いの口腔の隙間から七代の呼気が漏れた。
押し付けられ、口腔を蹂躙される七代を舌先に感じ、壇はざまあみろ、と思う。
だから、そう言ってやろうとした。
あの時のように余裕に満ちた顔をして、今度は自分が七代に。
しかし。
貪る粘膜の柔らかさと温さはやはりひどく心地が良くて。それはとてもとても離し難かった。
余計な言葉など挟みたくないと思ってしまうくらいに。
七代の舌を追い掛けて、側面を擦り、下から舐め上げる。
そうすると捕まえている手から震えるような反応が返り、壇の芯が痺れてくる。
角砂糖が溶かされてかたちを失っていくように、正常な意識がゆるゆると流れてしまう。
溶け出す理性と入れ替わるようにして、獰猛で嗜虐性を帯びる己が顔を覗かせる。
もっともっと押さえつけて。壊すくらいに。そうして思うまま貪りたいと。
ぬるりとした熱の生む快楽と獣の如き欲、細く繋がる日常の意識、その境で壇は翻弄され。
何に従うべきなのか判らぬまま、ひたすらに七代の口腔を舐めた。

荒くなった呼吸が互いの唇から漏れ、舌先の滑りが後を引きながら離れる。
途端に吹き込む冬の空気がほんの少し、壇の欲と眼を醒ました。
細められた七代の黒い眼を見詰めると、すぐにまた吸い寄せられてしまいそうになる。
何もかもどうでも良くなってしまうようなあの熱に。

酷く快いその痺れを脳裏に残したまま、壇は、どちらのものとも判らぬ唾液を嚥下した。
そして口腔に溜まった熱と一緒に、とりあえず言い放っておく。
これが当初からの目的なのである、果たさねば意味が無い。

「……………………借りは、これで、返した、ぜ……、
 わかっ、た、か、この……、ばか、やろう」

そう言う壇の耳は異様に赤く。
七代に向ける視線も何処か定まらず、見事に呂律が回っていない。
此方の鼻先に人差し指を突きつけてくるこの男の様子が、本当に、あまりにもあんまりだったので。



途端、七代は一切を忘れ、心の底から壇を笑い飛ばした。














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ふたりともにげろ!って言った時の壇がどうも怒ってそうだと思ったので。

ただチューし返すだけの話でした。
























































この先は、気付いてしまった方だけ(笑)。

特別オチの無い続きでもいい!という猛者は、更に下へどうぞ。



































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『どうでもいい』











くつくつと、七代の笑いはなかなか収まらない。

「全く、無理すんなよなあ」

目尻に涙まで浮かべている。
それを恨めしく眺めながら壇は、火照る顔を七代から逸らせた。

「して、ねえよ」
「いやあ、明らかに無理しただろその顔、鏡で見せてやりたいわ」
「お前の所為だろうが!お前が悪いんだろ!」
「わかったわかった、はいはい、俺が悪かったよ」

言って、七代の腕がするりと壇の首に回る。

「、おい、」

不穏な空気を感じて壇はそれを解こうとしたが、七代は唇だけで笑んで。
そのまま再び先刻と同じように今度は七代から、壇へ口を付けた。

「う、」

やり返されるとは思わなかったので壇の上体が逃げるように泳ぐ。
それを捕まえ、舌先を吸う。
強く吸われた所為で痛みにも似た痺れが壇を襲い、七代は次にそれを宥めるように、怯んだところを奥へ向けて撫でた。
合わさる粘膜と粘膜がまた、混沌と壇の意識を崩していく。
口腔同士を繋げる七代と壇にしか聞こえない、湿った水の音。
折角醒めた熱が耳朶の下に溜まって顔が熱くなる。

やめろ、と

そう押し返そうとした筈の壇の掌は、己の意志を簡単に裏切って、それどころか七代の腕を此方に引き寄せていた。
もっと熱を感じられるよう、もっと貪れるよう、もっと触れられるよう。
乗せられて、噛みつくような勢いで七代の口腔を貪る己に壇は戸惑いながら、しかし決して止められず流されるしか術が無かった。

「は、あ……、」

涙の膜に隔てられ、眼に映る景色が歪んでいる。
視線を持ち上げて見ると七代千馗は、濡れた口許を拭いながら笑っていた。

「……お前の顔に、まだ足りねえって書いてたからさ。
 もう、足りた?まだ足りない?」

憎らしい七代の声音は余裕に満ちてはいたのだが、呼吸を乱しているのは同じだったし、眼許に赤みも差している。
この男も同じ快楽を感じているのだと。
それを確かめてしまった途端に壇の中で何かが暴れた。
精神を浸食する熱も増大してはいたが、もっと端的で直接的な意味での欲も明らかに体積を持ち始めていて。
それを重々自覚しながら壇は、ただ俯いて溜息を吐くしかなかった。

「…………………………畜生、
 こんな、こと……、やるんじゃなかった」
「なんで」

相変わらず飄々とした七代の方は、果たして平気なのだろうか。

「なんで、って、お前、な」

隠したつもりだったのだが、恨めしいほど察しのいい七代は身を乗り出して何の躊躇いも無くそこへ手を伸ばしてきた。

「!
 さ、さわっ……!」
「わあ、もう半分きてる」
「お前なあ!」

七代の言った通り、既に半ば立ち上がっていたものが、突然触れられた所為で一層堅くなってしまった。
布に閉じ込められ、窮屈さを感じながら壇は体勢を前へ崩す。

「よ、よくも…………
 なんとか、あれくらいなら、どうにかなると思ってたのに…………」
「どうにかって?
 やり過ごすって事?」
「それしかねえだろ!」
「それしか無いの?」

笑いながら少し不思議そうな素振りで首を傾げてみせる、この男の考えている事が壇には全く判らない。
この男は何を言っているのだろう。
同じ性を持つものとしてこういった現象については理解している筈なのに。

「お前の所為だ、って、言ってたよな?
 お前がこんな事する羽目になったの…………
 じゃあさ、お前がこんな状況になってんのも、俺の所為だって事だろ?
 なら………、俺がどうにかするしか無いんじゃないの?
 なァ、壇?」

そう言って、七代の指が遠慮の欠片も無く壇の制服のジッパーを下ろす。
きちきちという小さな金属音が存分に壇を焦らせた。

「う、おわ、あっ」
「ちょっと、暴れんなよじっとしろよなんなんだよ」
「お、お前がなんなんだよっ!?」
「何、って、」

制服と下着を引っ張ると、突っ張るように性器が跳ねて出た。
己のそれを、壇は信じられない気持ちで見詰めている。
一体何をされているのか、この男が何をしているのか、眼前にある光景を壇の脳はとても受け入れられない。
茫然とする壇の性器を、七代は一拍の間だけ眺め。
それから、そのおもてを撫でた。
湿度を帯びる先端の丸みから、くびれを経て、根許の方へ。

「う、あ、あっ……!」

他人の手で触れられて、壇の背筋に強い刺激が走った。
七代は左の手を往復させながら、暴れる腿を反対の掌で押さえる。
相手は壇である、きちんと押さえつけておかないとうっかりと蹴り飛ばされそうだ。
手を休めずに七代は万一の退路までを考えている。

「元凶の俺が、何とかしてやるって言ってんの…………
 ちょっとの間、じっとしてろよ」
「ば、か」

壇の手が七代の肩口を掴んだ。

「何をっ、考えて…………っ、
 こんな、もん、トイレでっ………、う、自分、でっ!」
「自分で抜くって?
 俺の所為だってお前が言うから、責任取ってやろうって言ってんのに」

そう言いながら七代の口許が面白そうに笑んでいるのを壇は見てしまった。
決して実際のところは、この男の言うような責任云々の話では無いのだ。
それを確信し、どうにかしてやろうと思うのだが、七代が手を止めないので身体に全く力が入らなかった。

「や、め、」
「自分でやる方がいい?自分でやる方がきもちいい?
 俺にされるのとどっちがきもちいい?」

そんな事は。
比べるまでも無かった。
裏に浮いた筋を柔らかく揉むようにして上へ滑り、先端との段差を親指で解される。
ぬめる感触は七代の掌へ浮いた汗なのか、己の滴らせたものなのか。
往復されるたびに壇の思考能力は壊れていく。
抵抗が薄れた事を七代は肯定として受け取り、堅く眼を瞑る壇のこめかみにひとつ口付けた。

「……ま、ちょっとの間だけだから」

押し寄せる快楽に耐えながら壇は、手を伸ばして七代の身体を自分の方へ引いた。
そして、己が今触れられている場所と同じところを強く撫で上げる。

「、!」

七代の表情に僅かなひびが入るのを、ざまあみろ、と精一杯笑ってやりながら熱い息を吐く。

「ちょっ、と、俺は、」
「ひとの事、言えねえじゃねえか、よ、七代?
 この、かたいのは、なん、だよっ」
「ん、っ……!」

同じように制服をずらして性器を取り出してやると、七代のそれも今の壇と似たような状態だった。

「お前は、どう、する、つもりだった、ってんだよ、
 ひとのばっかり、いじりやがって、」

少しきつく先端を捻るようにしてやると、七代の口から聞いた事も無いような声が漏れる。
聴覚から齎されるそれがまた壇の欲を煽った。
自分よりも細い七代の腰を抱き寄せて自分がされたように下からずるりと擦っていく、するとその刺激に七代が息を詰めた。
反った喉許に覗く白い皮膚。
そこに歯を立てたい衝動に駆られながら、壇が七代の耳許で囁いた。

「…………俺に、も、…………やらせ、ろ」

熱を含んだ壇の息が七代の首筋にかかる。
壇の指が存外丁寧に七代の性器を弄るのを感じ、七代は強い快さに耐えながら口許を歪めた。

「………………いい、けど…………、
 …………どんだけ、負けず嫌いなの、おまえ」
「そう、じゃなく、て…………、自分だけ、やられるのが、いや、なんだよ」

触れる性器は己のものと同じく熱い。
漏れるぬめりを塗り込むようにして擦ってやると、ひくりと七代の喉が震える。
それでも、七代は笑ってみせた。

「それが、負けず嫌い……なん、じゃないの?
 いいけど、さ…………、
 じゃあ…………、まあ、わるいけど、よろしく」



それから。
互いの熱を放出する為に、ただひたすらに互いのものを擦り合った。



やがてコンクリートの上へ二人分の白濁が点々と落ちる頃、いやに意識の冷却した七代と壇は、散々なこの状況をどう処理するべきかと揃って頭を悩ませる事になった。





















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……後悔してやいませんか?笑

まさにオチも何も無い話でした。

まあこの後は、七代が大量に持っているポケットティッシュでどうにかして、
あと、こっそりダッシュで武道場行って、シャワーとか借りたと思う。
武道場ってシャワーとか無いんですかね。ありますよね?
あったらいいな……

もっと細かく書こうと思ったけど途中から

こいつらいつまでも何してんねん

と我に返って面倒臭くなった。









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