melancholia//サイトの更新履歴兼、その時々のプレイゲーム日記、二次文章など。
--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2010/05/07 (Fri) 鬼祓師小話 / 鹿島御霧と七代千馗


えー……御主御…………(またですか)。

う、ううう、何故わたしの書くものは毎度毎度何でもこうも曖昧に?

これはあれです、またうすら寒い話です。ものすごく。痒いです。
そしてわたしは現在二周目二話目をプレイ中なのでミギーがよく判らないんですよ。
クリスマスも最後までは見れてないしな。

そんなにせものミギーと七代で宜しければ追記から。





御主御小話 『それの名は』







-----------------------------------------------------------------------





『それの名は』






「急に呼ばれたから、ほんと、何かと思った」



歌舞伎町にある喫茶店、ドッグタグ。
いつものカウンター席に座りながら、七代千馗はひとつ息をついた。
店に入った時から、バセットハウンドのカナエさんが七代の足許から離れようとしない。
この男は動物にも好かれるのかと、呆れ半分感心半分にそれを眺めながら、鹿島御霧は隣の席にスーパーのレジ袋を置く。

「仕方無いだろう、おひとりさまひとつだ、というんだから」
「それは判るけどね。
 俺は、人選の事を言ってるんだけど」

七代がカナエさんを膝の上へ抱き上げると、カナエさんはじっと澄んだ眼で御霧を見詰めた。
七代の視線も同じく、隣の御霧へ。
両名にじっと見詰められ、さすがに言葉に詰まってしまう。

「…………な、何が言いたいんだお前は?」
「いや、だからさ、俺はこの通り、寇聖の生徒じゃない訳で。鴉乃杜な訳で。
 鴉乃杜って、寇聖とはそう近くないだろ?そりゃ物凄く遠くも無いけどさ。
 寇聖の近くのスーパーでおひとりさまひとつまでの特売セールやってるなら、
 お前んとこの若ェ衆だっけ?
 あれ連れてった方がよっぽど効率いいし。
 それに数買えたんじゃねえかと思っただけだよ」

な、カナエさん?

七代が言い掛けると、カナエさんはくう、と困惑したように一声鳴いた。
それを視界の隅に眺めながら、御霧は眼鏡の奥で思考をぐるぐると回している。
この男の言う事が、正し過ぎたので。
なかなか反論の言葉が浮かんでこないのである。
何故こうも七代千馗は要らぬところで無駄に正論を吐くのだろうと、御霧は見当違いの怒りを感じた。

「い、いつもお前の地下ツアーに付き合ってやってるんだから、
 その貸しを返してもらおうと思っただけだ!」
「若ェ衆、出払ってんの?」
「聞け、話を!」
「また馬鹿やらしてんじゃないだろうな。
 馬鹿な真似してると東京BMに成敗されちゃうぜ、ていうかされろ」
「う、うるさ……、そういう事は義王の馬鹿にでも言ってくれ!」
「そうね、言っとく」

うまくはぐらかされてくれたのかと七代の横顔を盗み見ようとすると。
七代は黙ってまだ御霧の方を見ていたので、視線がぶつかってしまい、慌てて眼を逸らす。
鬼丸義王と全く別の意味でどうにもやりにく男である。
携帯電話の録音機能を使わずに済む相手というのは、それだけでも御霧にとっては大層有り難かったけれど。

そうしていると突然、七代が椅子から立ち上がった。

「澁川さん、リードある?」

言うと同時に店主澁川源伍が、革製のリードを七代の手許へ放る。

「よし…………
 じゃあ、ちょっと、行ってくる」

カナエさんの首輪にリードを繋ぎ、七代はさっさと一緒に足早に店のドアに手を掛ける。

「お、おい、七代?」

御霧は、遠ざかる背中を呼びとめようとしたが。
七代は僅かな微笑だけを御霧に残し。
いとも簡単にカナエさんと店を去ってしまった。



突然店に置いて行かれてしまった御霧は呆気に取られながら七代の姿を見送っていたのだが、澁川の声音によってようやく我に返った。

「何、すぐに戻る…………、それまで珈琲でも飲んで待っていろ。
 七代と、もう少し話をしたかったのだろう?」

本音を突かれ。眉をしかめながらカップに口をつける。

「、別に、俺は…………」
「本来、客にさせる事じゃないが……、
 七代は時々ああやってカナエさんを散歩に出してくれる。
 店主をしているとなかなか出してやれないからな……、助かっている。
 カナエさんの方も七代を気に入っているようだから、済まんが、ほんの少しの間、
 七代を譲ってやってくれないか」

澁川の口許は笑んでいる。
御霧は再び反応に困った。

「……………あれは、時々、自覚があるのか無いのか、性格が悪い。
 お前も七代と行動を共にするのなら、知っておく事だな。
 お前を気の毒だとは、思うが」

どうやら先刻の会話の事を言われているらしいと思い当り、御霧の顔に血が上った。

「なッ、何が気の毒なんだ?
 あいつの性格が悪い事くらいはもう充分に知ってる!」

しかしのほほんと。澁川は洗い終えたカップを布巾で拭きつつ。

「そうか。
 しかし、お前は、あれの、仲間なんだろう?
 共に行動すると、決めたんだろう?」

澁川の声音に、かつて七代千馗の口にした言葉が蘇って重なった。

力を持つものは、全てを搾取する権利があり、全てを踏みつけ、そして捨てる。
強者こそが正義である。
正義というものは強さの後からついてくるものだ。
力を持たぬものは、搾取され続け、全て失い、捨てられるだけ。
いくらきれいごとを並べたところで所詮はそれが、世界の規定であったから。
身近にそれを、見てしまったから。
それを良しとしないというのなら、己も力を手にしなければと。
だから、鹿島御霧は力を求めた。
捨てられるのも、踏みつけにされるのもうんざりだったからだ。
しかしあの男は、それを否、と言った。
それを御霧は甘いと思った。軽蔑もしたし、無知だと嘲りもした。
けれど。
七代千馗は強かった。どうしても勝つ事が出来なかった。奪い取った力を持ってしても尚。
その強さを持つ男は、それでも、それだけの力を持っていても、まだ否と言った。

つよいってのはそういうんじゃないとおもうけど、おれは

当たり前のように。ひどく普通に。
七代の言葉を聞いた時、御霧は何かを思い出しかけた。
遠く遠くの記憶。

この男は。
だから、つよいのだろうかと、思い始めた。
それがこの男のちからなのだろうかと。
それを知りたくて、御霧は七代の傍に居る事を選んだのだ。

御霧は、ずれていない眼鏡を押さえながら嘆息した。

「……………………あいつは、まだ俺の使い方を心得ているようだからな。
 俺は一番上に立つより、そういう方が向いている」

それに、どうやら、御霧に足りないものが何なのかという事も、七代は知っているようなので。
とりあえずは、香ノ巣絢人よりも無駄無く広く情報を集められるようになるのが御霧の、差し当たっての目標である。
それには七代の傍に居る事が近道である気がしていた。

三つめのカップを拭き終えた澁川は、何かを思い出すように微笑した。

「しかし………………、お前が七代を選ぶとはな。
 七代の懐の深さにも恐れ入る」

澁川の言っている意味が判らずに御霧が顔を上げると、澁川は顎で、店の硝子を示した。

「こないだ、手紙をつけて矢を打ち込んだのが、お前だろう?」
「、!」

言われた御霧は、危うく珈琲を吹き出しかけた。
何も忘れていたわけではない。
澁川が、御霧の仕業であった事をまさか、知っているとは思わなかったのである。

「、な…………」

驚愕する御霧を余所に、澁川の表情は相変わらずのんびりとして。

「、ああ………、七代が言ったわけじゃない。
 ただ、この店にはもうひとり、情報に通じる男がよく来るんでな。
 彼が教えてくれた事だ」

あの、変態紳士め

脳裏に蘇った流麗な顔に矢を射りながら、即座に硝子の値段を見積もってみる。
己が割ったのはひときわ大きな硝子である、厚さはどれくらいなのだろう、加工は入っているのだろうか。
ああ、折角特売を狙って金を浮かせているというのに。
己の所業に間違いはないのだが、だからこそ、やりきれない怒りが沸いてきた。
咳払いをしてから、小声で訊いてみる。

「……………………幾ら、なんだ?」
「ん?」
「あの、硝子だ…………」
「、ああ、」

どうやら弁償を申し出ているらしい御霧の様子を眺めて、澁川はふと笑った。

「貸しにしておく」
「、はあ?」
「あの時は幸い誰も怪我をしなかったし、それに、お前は七代の仲間なんだろう?
 なら、もう構わない。
 精々、七代の役に立つ事だ。
 お前が今、七代の仲間でなかったのなら、請求しているところだが」

御霧はそう言って微笑する澁川の表情を見詰めた。
愛想の無い店主だと思っていたのだが、この男は、七代の事を話す時にはとても誇らしげな顔をする。
七代千馗の事を何処か、自慢でもするように。
ああ、犬だけでなく店主にも、気に入られていたのかと。
そう思うと妙に力が抜けた。

「………………………………それは、どう、も」
「七代に感謝しておけよ」
「……気が向いたらな」

冷えた珈琲を一気に流し込む。
そして御霧が腕時計を見ようとした時、店のドアがからりと音を立てて開いた。



「おかえり」

澁川の声と共に振り返ると、嬉しそうに尻尾を振っているカナエさんと、リードを握る七代千馗の姿があった。

「七代!」
「やあ、お待たせ」

七代は取り外したリードとタオルを交換し、カナエさんの足を拭いている。

「お前なあ…………、よくも勝手に犬の散歩なんかに、」

溜まっていた憤懣をぶつけようと御霧が口を開くと、そうそう、と言って七代は何か白いものを御霧の顔の前へ差し出した。

「散歩のついでにな。
 ミギーに、みやげ」

がさり、と顔に押し付けられたそれを、御霧はとりあえず受け取ってみる。
白い、ビニール袋。
それにはとてもとても、見覚えがあった。

「こ、れ……………………!」

まさか、と思いながら袋を開けてみると。
それはやはり。
先刻、七代を連れて買いに行った、特売の卵だった。

「まだあったのか!?」
「おお、あったよ?
 白でも呼んでもういっこ買ってやろうかと思ったら、最後のひとつだったから無理だったわ」

七代は、笑っている。
何となく、してやったりという顔で。

なんなのだろうこの男は
なんなのだろうこれは

何かが御霧の身体を勢いよく疾走して、痺れのようなものを残していく。
そこにゆるゆると血が通い始め、熱を持って、御霧の中にわだかまった。
しばらくはとても冷めそうにない熱が。

袋を手にしたまま何も言えずに立ち尽くしている御霧を余所に、七代はさっさと席について、澁川からの珈琲を受け取っている。

「けどさ、ミギー」

ミギーとか呼ぶな

胸中で御霧はそう考えていたが、言葉がそのままなかなか口から出てきてくれない。
カナエさんが少し不思議そうな顔をして、やや離れたところから御霧を見守っている。

「買ってきといてナンだけどさ、
 お前、そんなに卵買い置きして大丈夫?
 お前がオムライス好きなのは知ってるけど……そんなに食うの?
 あ、オカシラとかにも作ってやってるわけ?」

カップを片手に首を傾げている七代を前に、御霧は、溜まった熱を放出するようにして息を吐き、眼鏡を押さえた。
 
「…………そう思うなら、お前が食いに来ればいい。
 礼だ。お前にも、俺のオムライスを食わせてやるさ。
 心配しなくても、寮に入る抜け道はちゃんと教えてやる。
 まあ……、お前なら、教わらなくても来れるんだろうが」

御霧の言葉に、七代は瞬いている。
さぞかし感動しているのだろう。
そう思いながら、七代の顔を眺めていたのだが。

「俺が寇聖なんかに行ったら、ものすごい面倒臭い事になるだろが主にオカシラ的な意味で。
 作ってくれるんなら、お前が持って来て。
 鴉乃杜まで」

七代の返答は全く予期しないもので。



手製のオムライスを七代千馗に届けに行く己の姿を想像した鹿島御霧は、どうしようもない眩暈に襲われた。
















---------------------------------------------------------------------



さむいさむいさむい、かゆいかゆいかゆい!

ミギーがドッグタグにて香ノ巣をガン見してた時、こいつは何を平気な顔で
店に来てんだよ硝子割っといて、マスターに謝れ!
と思ったので、それを書いてみた……



ミギーはしかし、録音しなくてもまともに会話出来る相手、というだけで
すごい感動してそう。
今までまともに話せる相手が身近にいなかったから。
その感動レベルの低さに、七代とか壇が気の毒がっていそう。
かわいそうな子。

かわいそうなくせに判ってなくてどっか自信に満ちてる馬鹿な子がだいすきです。





スポンサーサイト

鬼祓師小話 | comment(0) |


<<えっ…… | TOP | レビュウという名の>>

comment











管理人のみ閲覧OK


| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。